便秘と下痢を繰り返す原因は腸内環境の乱れも|主な原因と整え方のポイント
便秘と下痢を繰り返す状態は、誰にでも起こりやすい身近な症状です。一時的な体調の変化や体質の問題としてとらえられがちですが、その原因はさまざまで、腸内環境の乱れや生活習慣の影響に加え、病気が関係している場合もあります。この記事では、お通じが安定しない状態が続く主な原因を整理したうえで、日常生活で実践しやすい対策や、市販薬を上手に活用するためのポイントを解説します。
1. 便秘と下痢を繰り返す主な原因
便秘と下痢を繰り返す状態の背景には、腸内環境の悪化だけでなく、いくつかの要因が関係していると考えられます。日々のストレスや食生活、さらには隠れた病気がお通じの変化として現れている場合も少なくありません。まずは考えられる主な要因を確認してみましょう。
ストレスや自律神経の乱れ
腸の働きは、自律神経によって調整されており、脳と腸は互いに影響し合う関係(脳腸相関)にあると考えられています。そのため、精神的な緊張や不安、強いストレスを感じたときには、その刺激が脳から自律神経を通じて腸へと波及し、腸の動きや便を送り出す動きに変化が生じることがあります。
例えば、受験や大事な会議などを控えて強い緊張を感じた際に、急にお腹の調子が悪くなったり、下痢や便秘が起こりやすくなったりする場合があります。これは、ストレスによって自律神経のバランスが乱れ、腸の動きが過剰になったり、逆に低下したりすることが関係していると考えられています。
このような状態が続くと、腸の動きが一定に保たれにくくなり、下痢と便秘を繰り返すといったお通じの乱れがみられる場合もあります。ストレスや自律神経の乱れは、脳と腸の情報伝達に影響を与え、お通じのリズムが乱れる原因のひとつといえるでしょう。
食生活や生活習慣の影響
食生活や生活習慣の乱れは、腸の働きに影響をおよぼし、便の状態が不安定になる原因のひとつです。食べ過ぎや飲み過ぎ、脂質の多い食事、香辛料などの刺激物、アルコールの摂取は、腸を刺激しやすく、腸の動きが過剰になることで下痢を引き起こす場合があります。
また、冷たい飲食物のとり過ぎも、腸の働きを一時的に乱し、便が水分を多く含みやすくなる要因のひとつです。このような刺激が重なると、腸内での消化・吸収のバランスが崩れ、便の状態が整いにくくなります。
さらに、不規則な食事時間や食事を抜くなどが続くと、腸のリズムが乱れやすくなります。こうした刺激や生活習慣が重なることで、消化・吸収のバランスが崩れ、便秘と下痢を繰り返しやすくなります。
腸内フローラの乱れ
腸内フローラのバランスが崩れると、腸内で悪玉菌が優勢になり、アンモニアなど腸に影響をあたえる物質やガスが増え、腸内環境が不安定になる場合があります。その結果、腸が刺激を受けやすくなり、内容物を排出しようとして腸の動きが一時的に強まることで、下痢が起こることがあります。
一方で、内容物を出し切ったあとは腸の中が空に近い状態となり、腸の動きが鈍くなることで、便が出にくい期間が続くこともあります。
腸内フローラの乱れによって腸の動きが不安定になると、このように出ない期間と出る期間を繰り返す、お通じの乱れにつながることがあると考えられています。
過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群(IBS)とは、検査をしても炎症や腫瘍などの明らかな異常がみられないにもかかわらず、腹痛や腹部の不快感、下痢や便秘といったお通じの変化が慢性的に続く状態を指します。
腸そのものに異常はなくても、腸が刺激を感じやすい状態になっていることが、症状の背景にあると考えられています。日本では人口の10〜20%がIBSに該当するといわれており、特に20〜40代の若い世代や女性に多く見られるのが特徴です。
IBSにはいくつかのタイプがあり、下痢と便秘を繰り返すタイプは「混合型」と呼ばれています。混合型では、腸の動きが不安定になり、便を送り出す動きが一定に保たれにくいため、下痢と便秘を交互に繰り返しやすくなります。
IBSの発症や症状の悪化には、ストレスや生活リズムの乱れなどが関係している場合があります。そのため心身の状態によっては、腸の知覚過敏が強まり、お通じの乱れが続くこともあります。
大腸がんやポリープなどの病気
便秘と下痢を繰り返す背景には、腸の働きや生活習慣の影響が関係していることが多い一方で、大腸がんや大腸ポリープなどの病気が関係している場合もあります。
これらの病気では、腸の内部に変化が生じることで、血便など排便の状態にこれまでと異なる変化があらわれることがあります。そのため、お通じの乱れが続く場合には、機能的な要因だけでなく、病気の可能性があることも意識しておくことが大切です。
2. 便秘と下痢を繰り返さないためにできること
便秘と下痢を繰り返す状態では、一時的に症状が落ち着いても、再び不調を感じることがあります。お通じを安定させて心地よい毎日を過ごすために、日常生活の中で今日から取り入れられるセルフケアのポイントを確認していきましょう。
失われた水分を補う
下痢が起こると、体内の水分は通常より多く失われます。水分が不足すると、腸内で便から水分が過剰に吸収されやすくなり、下痢のあとに便秘が起こるなど、お通じの乱れを繰り返しやすくなります。便秘と下痢を繰り返さないためには、体内の水分バランスを保つことが大切です。
水分補給の際は、次のポイントを意識しましょう。
- 水分は飲み水として1日1.2Lを目安に、こまめに補給する
- 日常の水分補給には、水や白湯を選ぶ
- 利尿作用の高いコーヒーやお酒などのとり過ぎに注意する
腸に優しい食事で負担を減らす
便秘と下痢を繰り返しているときは、腸が刺激に対して敏感な状態になっていると考えられています。このような状態で脂質の多い食事などを摂取すると、腸が刺激され、症状が悪化することがあります。そのため、腸への負担を減らすためにも、食事内容を見直すことが大切です。
食事の際は、次のポイントを意識しましょう。
- 白ごはんやうどんなど、消化のよい主食を中心にする
- 脂質の多い食事や刺激の強い食品は控えめにする
- 冷たい飲み物や食事は控え、温かいものを選ぶ
規則正しい生活を送る
お通じのリズムは、日々の生活習慣の影響を受けやすいとされています。睡眠や食事、活動の時間帯が日によって大きく異なると、排便のタイミングが安定しにくくなることがあります。このような生活リズムの乱れが続くと、腸の動きが一定に保たれにくくなり、便秘や下痢を繰り返しやすい状態につながることもあります。
日常生活では、次のポイントを意識しましょう。
- 毎日できるだけ同じ時間に起床・就寝する
- 食事の時間帯を日によって大きく変えない
- 平日と休日で生活リズムに大きな差を作らない
入浴で血流をよくする
入浴は、体を温めて血流を促し、ストレスや冷えによって生じやすい心身の緊張を和らげる習慣のひとつです。
心身の緊張が続くと、自律神経のバランスが崩れて腸の働きも不安定になりがちです。こうした状態をリセットするためにも、日々の生活に入浴の時間を確保し、意識的にリラックスする時間を設けることが大切です。
入浴の際は、次のポイントを意識しましょう。
- シャワーだけで済ませず、入浴の習慣を取り入れる
- 40度程度のお湯に、10~15分を目安に浸かる
- 就寝の1~2時間前を目安に入浴する
焦らずに出す準備をする
便秘と下痢を繰り返していると、「また便秘になったらいやだな」「外出先で下痢になったらどうしよう」といった不安から、排便そのものを意識しすぎてしまうことがあります。
しかし、便意を我慢したり、焦って無理に出そうとしたりすると、かえってお通じのリズムが乱れ、安定しない状態になりやすいと考えられています。自然な便意があるときに、無理のない形で排便することが大切です。
排便習慣については、次のポイントを意識しましょう。
- お通じを感じたときは、できるだけ我慢せずにトイレに行く
- 排便時は強くいきまず、落ち着いた姿勢で座る
- すぐに出なくても焦らず、トイレに長時間こもらない
3. 市販薬の選び方と使い方のポイント
便秘と下痢を繰り返している場合、症状に応じて市販薬をひとつの手段として活用することもおすすめです。
整腸剤で腸内環境を整える
便秘と下痢を繰り返している場合、腸内環境のバランスが乱れている可能性があります。そのようなときには、まず整腸剤を取り入れ、腸内環境を整えることを意識してみましょう。
整腸剤は、腸内の善玉菌を増やし、腸内フローラのバランスを整えることを目的とした市販薬です。便秘だけでなく下痢が見られるときにも使用されることがあり、排便を無理に促すのではなく、腸本来の働きをサポートする点が特徴です。お腹の調子が安定しないと感じるときに取り入れやすい選択肢といえるでしょう。
便秘薬は非刺激性から試す
便秘がつらいときに市販の便秘薬を使用する場合は、まずは腸への刺激が少ない非刺激性便秘薬を選ぶことがおすすめです。
非刺激性便秘薬は腸を直接刺激せず、腸内の水分量を増やして便をやわらかくすることで、自然な排便をサポートします。作用が穏やかで、腹痛が起こりにくい点が特徴です。代表的なものとして知られているのが酸化マグネシウムを主成分とした便秘薬です。
酸化マグネシウムは、体内に入ると腸内で水分を引き寄せやすい状態になり、浸透圧の働きによって腸内の水分量を増やします。これにより便をやわらかくし、腸に負担をかけにくい形でお通じをサポートしてくれます。即効性を目的とした便秘薬ではありませんが、服用量を調整しやすく、腸の状態に配慮しながら使いやすい便秘薬といえるでしょう。
下痢止めは原因を見極めて使う
下痢止めは、腸の動きを抑えることで症状を一時的に和らげる市販薬です。急な下痢で日常生活に支障が出る場面では、必要に応じて活用することがあります。
ただし、下痢止めは使い方に注意が必要です。ウイルスや細菌による感染性胃腸炎が疑われる場合、下痢止めで無理に止めてしまうと症状が悪化するリスクがあります。そのため、発熱や吐き気をともなう下痢がみられるときは、下痢止めの使用は控え、早めに医療機関を受診しましょう。
また、便秘と下痢を繰り返している場合は腸の状態が不安定になっていることも多く、下痢止めを頻繁に使うことで、かえってお通じのリズムが乱れることがあります。下痢止めは繰り返し使うものではなく、原因や状況を見極めて使うものとしてとらえることが大切です。
4. こんな症状が出たら医療機関を受診しよう
便秘や下痢を繰り返している場合に次のような症状がみられるときは、自己判断で様子を見続けず、医療機関を受診しましょう。
- 便秘が長期間続いている
- 便に血が混じっている
- 便秘や下痢の症状に加えて、発熱や関節痛をともなう
- 排便習慣に急な変化がある
(便が細くなった、便秘と下痢を繰り返す、急に便が出なくなった など) - 思い当たる原因がないのに、半年以内に約3kg以上の体重減少があった
便秘や下痢を繰り返す症状の中には、大腸がんや炎症性腸疾患などの病気が隠れている可能性もあります。「いつものことだから」と放置せず、気になる変化があるときは、早めに医師に相談しましょう。
5. まとめ
便秘と下痢を繰り返す状態は、腸が刺激に敏感になり、お通じのリズムが乱れやすくなっているサインです。まずは、水分不足や食事内容、生活リズムの乱れがないかを見直し、腸に負担をかけにくい生活習慣を意識しましょう。
日々の体調の変化に目を向けながら、無理のない範囲で整えていくことが、腸内環境の安定につながります。症状が長く続く場合や気になる変化がある場合は、自己判断せず、医療機関への相談も検討しましょう。
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