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便秘の原因から考える解決法とは? 日常的に取り入れやすいものから便秘薬の選び方まで解説

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# 健康
便秘の原因から考える解決法とは? 日常的に取り入れやすいものから便秘薬の選び方まで解説
執筆者
今井 茉里 医療ライター

便秘がつらく、「早く出したい」と感じている方もいれば、「便秘にならない方法を知りたい」と考えている方もいるでしょう。実は、便秘にはいくつかのタイプがあり、原因によって対処法は異なります。

この記事では、便秘の原因やタイプ、日常生活でできる対策から市販薬の選び方まで、わかりやすく解説します。

1. 便秘になる様々な原因

便秘は一つの原因だけで起こるものではなく、食事・水分・生活習慣・ストレスなど複数の要因が重なって生じることが多いとされています。ここでは、日常生活と関わりの深い主な便秘の原因を解説します。

食生活の乱れ

便秘の原因として多いのが、食事量の不足や食物繊維の摂取不足です。

通常は食事をとることで腸が刺激され、大腸のぜん動運動が促されますが、食べなかったり食事量が少なかったりすると刺激が弱まり、便が腸内にとどまりやすくなります。特に朝食は、腸の動きを強く刺激するとされており、朝食を抜く習慣があると排便リズムが乱れやすくなります。

また、食物繊維の不足も便秘の原因となります。食物繊維は、水に溶ける水溶性と、水に溶けない不溶性があります。水溶性食物繊維(海藻類や果物など)は便をやわらかくし、不溶性食物繊維(野菜類や穀類など)は便のかさを増やし、腸の動きを活発にする働きがあります。これらの摂取量が不足すると便量が減り、排便回数の低下や硬い便につながり、便秘を引き起こします。

水分不足

慢性的な水分不足も便の性状を悪化させ、便秘の原因になります。

便は水分を含むことでやわらかさが保たれますが、体内の水分が不足すると腸が便から水分を過剰に吸収し、硬くて出にくい便になります。その結果、排便時に強くいきむ必要があったり、残便感をともなったりすることがあるのです。

生活習慣の乱れ

生活習慣の乱れも、便秘を引き起こす原因と考えられています。

運動量が少ない状態が続くと、腹筋や骨盤周囲の筋力は低下し、腸管の動きを十分に支えられなくなることがあります。

また、排便のタイミングを逃したり、便意を我慢する習慣が続いたりすると、直腸の感覚が鈍くなりやすくなります。こうした生活習慣の積み重ねによって、排便がスムーズにおこなわれにくい状態が続き、便秘につながります。

ストレス

精神的なストレスや緊張も、便秘に関係する原因のひとつです。

腸の働きは自律神経によって調整されているため、ストレスが続くとそのバランスが乱れ、腸の動きや便意の伝わり方に影響をおよぼすことがあります。その結果、腸の動きが低下したり、便意が適切に脳へ伝わりにくくなったりすることで、排便リズムが乱れやすくなります。

2. 便秘の種類

便秘にはいくつかのタイプがあり、原因や対処法が異なります。ここでは、主に日常生活と関係の深い便秘を中心に解説します。

機能性便秘

慢性的な便秘の多くは「機能性便秘」に分類されます。これは、大腸にがんなどの明らかな異常がないにもかかわらず、腸の動きや排便の仕組みがうまく働かないことで起こる便秘です。

また、機能性便秘の分類は、病態による分類と症状による2パターンがあります。

病態による分類

分類名特徴
大腸通過正常型腸の動き自体は保たれているものの、食事量の不足により排便回数や排便量が減少しやすくなる
大腸通過遅延型大腸の動きが弱く、便が腸内に長くとどまることで排便回数や排便量が減少する
機能性便排出障害直腸や肛門に異常はないものの、排便時の力の入れ方や感覚の問題により、排便困難感や残便感が生じる

症状による分類

分類名特徴
排便回数減少型便の回数や量が減り、お腹の張りや痛みなどが起こる
排便困難型便の回数や量は十分あるものの、残便感や強くいきまないと出ないなど、便を出すのが難しい

機能性便秘は、腸の動きや排便の仕組み、症状によって分けられますが、実際の医療現場ではこれらを厳密に区別する必要はないとされています。症状や生活習慣に合わせて対応が行われます。

器質性便秘

器質性便秘は腸の形や通り道、あるいは腸そのものの働きに異常があることで起こる便秘です。原因によって、次のようなタイプに分類されます。

  • 狭窄性器質性便秘(きょうさくせいきしつせいべんぴ)
    腸が物理的に狭くなっているタイプです。がんや炎症、腸の癒着などによって腸が狭くなり、便が通りにくくなります。大腸がんや虚血性大腸炎、クローン病などが該当します。
  • 非狭窄性器質性便秘(ひきょうさくせいきしつせいべんぴ)
    消化管運動障害型とも呼ばれます。腸は狭くなっていないものの、腸の動きが弱く、便をうまく運べなくなる状態です。慢性偽性腸閉塞症や巨大結腸などの病気が該当します。

器質性便秘では、便秘に加えて激しい腹痛や血便、急激な体重減少などをともなうことがあります。このような症状がみられる場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

その他の便秘

便秘の中には、生活習慣だけでなく、他の病気や服用している薬が原因となって起こるものもあります。

  • 症候性便秘
    糖尿病や甲状腺機能低下症、パーキンソン病など、全身の病気が影響して腸の動きが低下し、便秘を引き起こすタイプです。
  • 薬剤性便秘
    一部の抗うつ薬や抗精神病薬、頻尿の治療薬、医療用麻薬などの影響で、腸の動きが弱まり便秘が起こることがあります。

3. 便秘を解消する方法

便秘の解消には、まず生活習慣の見直しが基本です。ここでは、日常的に取り入れやすい便秘解消法を解説します。

食生活を改善する

規則正しい食事は、腸の動きを整えるための基本とされています。食事によって大腸が刺激されて便が運ばれやすくなるため、1日3食を意識してとることが大切です。

特に朝食は、睡眠中に低下していた腸の動きを再び活発にする働きがあり、排便のきっかけになりやすいとされています。加えて食物繊維が不足している場合は、野菜や海藻、きのこ類など、無理のない範囲で取り入れると便通の改善につながるでしょう。

運動・マッサージを行う

体を動かすことも、便秘解消に役立つ方法のひとつです。ウォーキングや軽いジョギングなどの運動は、腸の活動を高め、排便を促すことがあるとされています。
また、腹部を腸に沿って「の」の字を描くように、やさしくマッサージを行うのも効果的です。

強く押す必要はなく、手のひらで心地よい程度の圧で行うのがポイントです。
お腹を温めながら行うとリラックスしやすく、腸の緊張が和らぐ効果も期待できます。

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便秘に効くツボを押す

便秘対策として、ツボを刺激する方法も便秘解消方法のひとつとして知られています。おへその左右にある「天枢(てんすう)」や、手の親指と人差し指の間にある「合谷(ごうこく)」、両足くるぶしの近くにある「三陰交(さんいんこう)」などが代表的です。

これらのツボをゆっくり押すことで、腸の働きを整えてくれます。ただし、効果の感じ方には個人差があります。あくまで補助的な方法として、生活習慣の改善や他の対策と組み合わせて取り入れるのがよいでしょう。

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4. しつこい便秘には市販薬もおすすめ

生活習慣の改善だけで十分な効果が得られない場合、市販の便秘薬を選択肢として考えてみましょう。

ここでは、市販薬として販売されている便秘薬の種類や選び方について解説します。

便秘薬の種類

市販の便秘薬は、主に次の3つに分けられます。

  • 刺激性便秘薬
    大腸を刺激してぜん動運動を促し、排便を起こしやすくします。比較的早く効果を感じやすい一方、毎日使い続けると効きにくくなることがあります。腹痛や下痢が起こることもあるため、症状に応じた使い分けが重要です。
    刺激性便秘薬は、日常的な使用は慎重に判断する必要があり、必要なときだけ使うか、短期間の使用が基本とされています。
  • 非刺激性便秘薬
    便の水分量を増やして便をやわらかくし、排便を助けます。代表的な成分は酸化マグネシウムで、腸を直接刺激しないため腹痛を起こしにくいとされています。
    効果があらわれるまでに時間がかかることがありますが、穏やかな作用で慢性的な便秘に用いられることが多いのが特徴です。
  • その他(座薬・浣腸など)
    座薬や浣腸は、直腸を直接刺激することで排便反射を促す方法です。即効性があるため、強い便意が出にくい場合や、排便が長期間みられない場合に用いられます。
    座薬は炭酸ガスを発生させて直腸を刺激するタイプが一般的です。浣腸は液体を直腸内に注入し、便の水分量を増やしながら腸を刺激して便を排出します。座薬や浣腸などの便秘薬は、頻繁に使用すると排便リズムが乱れたり、自力で排便しにくくなったりすることがあるため、連用は避け、補助的な手段としての使用が望ましいとされています。

便秘薬の選び方

便秘薬は種類によって効き方や作用の強さが異なるため、少量から試すことが大切です。まずは便をやわらかく整える非刺激性のタイプから試し、必要に応じて他の薬を検討するという使い方が一般的です。

初めて使う場合も、腸を直接刺激する薬ではなく、穏やかに作用するものから始めるとよいでしょう。

非刺激性の便秘薬の中でも、酸化マグネシウムを主成分とした便秘薬は医療用医薬品としても使用されており、生活習慣の改善とあわせて取り入れやすい成分です。量を調整しやすく、初めての方でも使いやすいでしょう。

5. 長く続く便秘は受診も検討を

次のような症状がみられる場合は、自己判断で様子を見続けず、医療機関を受診しましょう。

  • 便秘が長期間続いている
  • 血便がみられる
  • 排便習慣に急激な変化がある(便が細くなった、便秘と下痢を繰り返す、急に便が出なくなった など)
  • 思い当たる原因がないのに、半年以内に約3kg以上の体重減少があった
  • 便秘症状に加えて、発熱や関節痛をともなう

便秘には、大腸がんや腸閉塞などの腸の病気による「器質性便秘」、甲状腺機能低下症やパーキンソン病など腸以外の病気が原因となる「症候性便秘」、服用中の薬の副作用で起こる「薬剤性便秘」など、背景に治療が必要な疾患が隠れているケースもあります。

便秘はいつものことだからと思い込まず、気になる症状があるときは早めに医師に相談しましょう。

まとめ

便秘を解消するためには、便秘になる原因やタイプを理解し、自分の状態に合った解消法を選ぶことが大切です。慢性的な便秘の多くは、腸の動きや排便の仕組みがうまく働かない「機能性便秘」に分類され、生活習慣の見直しによって改善が期待できるケースも少なくありません。

便秘解消の方法は、まず食事・水分摂取・運動などの生活習慣を整えることからはじめ、それでも改善しない場合は市販の便秘薬を選択肢のひとつとして取り入れるとよいでしょう。便秘薬は、便をやわらかく整える非刺激性のタイプから試し、症状に応じて使い分けることが基本とされています。

便秘解消のために大切なのは、我慢し続けないことです。つらい症状が長く続く場合や、不安がある場合は、医療機関を受診して、自分に合った方法で無理なく便秘解消を目指しましょう。

執筆者

今井 茉里

医療ライター

現役薬剤師ライター。医療メディア編集経験を活かし、エビデンスに基づく医療記事を執筆。

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