便秘でお腹が張るのはなぜ?ガスとの関係と原因、気になるときの対処法
便秘が続くと、「お腹が張って苦しい」「ガスがたまっている感じがする」「お腹が硬い」など、不快感を覚えることはありませんか?
こうしたお腹の張りには、腸内にとどまる便やガス、腸の動きなどが関係していると考えられています。また、体調や生活習慣、ホルモンバランスの変化が影響する場合もあるといわれています。
本コラムでは、便秘のときにお腹が張る理由やガスとの関係、気になるときの対処の考え方について解説します。
1. 便秘でお腹が張るのはなぜ?腸の中で起こっていること
便秘のときにお腹が張るのは、腸の中に便が長くとどまることや、腸内で発生するガスなどが関係していると考えられています。
腸では「蠕動(ぜんどう)運動」と呼ばれる動きによって、便やガスを含む内容物が少しずつ先へ送り出されています。 便秘の状態では、この蠕動運動が低下し、腸の内容物やガスがスムーズに移動しにくくなることがあります。その結果、腸内に内容物がとどまりやすくなり、お腹の張りとして感じられる場合があります。さらに、腸内に内容物が長くとどまると、腸内細菌による分解や発酵の時間が長くなるため、ガスがより発生しやすくなる場合もあります。
また、腸の動きは自律神経やホルモンの影響を受けることが知られており、ストレスや生活リズムの乱れ、体調の変化などによっても変化することがあります。
こうした様々な要因が重なることで、便秘で便が腸にたまるとお腹が張りやすくなり、張りが続くことでさらに便秘がつらく感じる―といった便秘によるお腹の張りのループが起こることがあります。
2. 便秘のときにお腹が張る「ガス」とは?
腸内では、食べ物の消化や腸内細菌の働きによってさまざまなガスが発生しており、その量や動きがお腹の張りに関係する場合があります。

腸内細菌の働きによってガスが発生する
腸の中では、腸内細菌が食べ物の残りかすなどを分解・発酵する過程でガスが発生します。
このガスの主な成分は、水素、メタン、二酸化炭素などです。
通常、こうして生じたガスの多くは腸の動きによって移動し、おならとして体外へ排出されたり、一部は腸の壁から血液中に吸収されて、口や鼻から呼気として排出されます。
飲み込んだ空気もガスの原因になる
食事や会話の際に、口から空気を飲み込むことがあります。
飲み込んだ空気の一部は消化管を通って腸まで届き、腸内のガスの一部となります。
腸内では、このような空気と腸内細菌によって発生したガスが混ざり合いながら存在しています。
便がガスの通り道をふさいでしまう?
便が腸内にたまっている状態では、ガスがスムーズに移動しにくくなることがあります。
「便がガスの通り道をふさぐ」と表現されることもありますが、腸の中の便は完全な固まりではなく、水分を含んだ内容物と混ざりながら存在しています。 そのため、完全に通り道がふさがるというよりも、腸の内容物の移動がゆるやかになることで、ガスが腸内にとどまりやすくなる状態と考えられています。
一方で、便が非常に硬くなり、大きな塊として腸内にとどまる「便塞栓(べんそくせん)」と呼ばれる状態では、便が物理的に腸の通り道をふさぐことがあります。お腹の張りが強く続く場合や、痛みや吐き気などを伴う場合には、自己判断せず医師への相談を検討することが大切です。
3. 便秘でお腹が張るときに多い女性の悩み
お腹の張りは男女問わずみられる症状ですが、女性は体調の変化やホルモンバランスの影響によって、便秘やお腹の張りを感じやすい時期があるといわれています。
月経前症候群(PMS)の便秘やお腹の張り
月経前には、女性ホルモンの一つであるプロゲステロン(黄体ホルモン)の影響で、体にさまざまな変化が起こることがあります。
月経前にみられるこうした心身の不調は、月経前症候群(PMS)と呼ばれます。
このホルモンは体を休ませる方向にはたらくとされ、腸の動きもゆるやかになることがあるため、月経前の期間には便秘やお腹の張りを感じやすくなる方もいるといわれています。
冷えやストレスなど体調の影響
生活環境や体調の変化も、腸の働きに影響することがあります。
例えば、冷えやストレス、生活リズムの乱れなどは、腸の動きが遅くなる要因の一つと考えられています。
その結果、便秘とともにお腹の張りを感じることがあるといわれています。
4. 便秘でお腹の張りが気になるときは?
お腹の張りが気になるときは、腸の動きを整える生活習慣を見直すことが一つの考え方とされています。無理のない範囲で取り入れられる方法を確認してみましょう。
ただし、強い腹痛、嘔吐、発熱、血便、便が全く出ない・ガスも出ないなどの状態が続く場合は、医師への相談を検討しましょう。
食事や水分、生活リズムを整える
食事内容や水分摂取、生活リズムは腸の働きと関係していると考えられています。
食物繊維を含む食品を取り入れる、水分を意識してとる、規則正しい生活を心がけることが、腸内環境を整えるきっかけになる場合があります。
また、食事のときはゆっくり噛んで食べることも大切とされています。
早食いや急いで食べる習慣があると、食べ物と一緒に空気を飲み込みやすくなり、腸内のガスが増える要因になることがあります。
一方で、食生活の偏りによってお腹の張りを感じやすくなることもあります。例えば、肉類を中心とした高たんぱく・高脂質の食事が続くと、腸内環境のバランスが変化し、腸内でガスが発生しやすくなったり、膨満感につながる場合があります。
また、お通じをサポートするといわれる食物繊維も、急に多く摂りすぎると、腸内で分解・発酵される過程でガスが発生しやすくなることがあります。
腸の状態に合わせて、無理のない範囲で食事内容を整えていくことが大切です。
気になる方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
お腹が張るときに試したいツボ
お腹が張って苦しいときには、腹部の緊張をゆるめたり、腸の働きを整えるセルフケアとして、ツボ押しを試してみるのもよいでしょう。
ツボ押しは東洋医学に基づくセルフケアのひとつとされ、強く押す必要はなく、指の腹でゆっくりと押し、数秒ほど押してから力をゆるめる動作を数回繰り返します。呼吸に合わせて押すことで、お腹まわりの緊張がやわらぐ場合があります。

| ツボ | 押し方 |
|---|---|
| 天枢(てんすう) | おへその左右の、指約3本分外側にあるツボです。 左右同時に、人差し指・中指・薬指をそろえ、お腹が軽くへこむ程度の強さでやさしく押します。 |
| 腹結(ふっけつ) | おへそから指約4本分下、そこから指3本分ほど外側の左右両側にあるツボです。 下腹部の外側あたりにあります。天枢と同様に、左右同時に、人差し指・中指・薬指をそろえ、お腹が軽くへこむ程度の強さでやさしく押します。 |
| 大巨(だいこ) | 天枢から指約3本分下方に位置し、左右両側にあるツボです。両手を腰骨に置き、左右のツボを親指で同時に押します。 |
| 大腸兪(だいちょうゆ) | 腰骨の高さで背骨から指約2本分外側に位置し、左右両側にあるツボです。 床などの硬く平らな場所に仰向けになり、ツボの位置にテニスボールを置いて体重をかけます。ボールがツボを押すようなイメージで無理のない強さで行いましょう。 |
便秘ケアに役立つツボの位置や押し方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
便秘薬を選択肢として考えることも
生活習慣を見直しても便秘が気になる場合、市販の便秘薬を活用することも一つの選択肢です。
市販の便秘薬には、
- 腸の動きをサポートするタイプ
- 便を出やすい状態に整えることを目的としたタイプ
などがあり、便秘の状態や体調に合わせて選ぶことが大切です。
便を出やすい状態に整えることを目的とした、酸化マグネシウムを主成分とする非刺激性の便秘薬は、腸を直接刺激せず、便をやわらかくすることで排便をサポートするお薬として、便秘の治療に用いられています。
そのため、便秘薬の使用が初めての方でも、選択肢の一つとして検討しやすいといえるでしょう。
便秘が長く続く場合は、自己判断だけで抱え込まず、医師や薬剤師、登録販売者に相談することが大切です。
また、持病のある方や服用中の薬がある方は、使用前に医師、薬剤師または登録販売者に相談しましょう。
5. まとめ
便秘によるお腹の張りは、腸内に便が長くとどまることや、腸内細菌の働きによって発生するガスなどが関係していると考えられています。
腸の動きや生活習慣、体調の変化などが重なることで、お腹の張りとして感じられることもあります。
気になるときは、食事や生活リズムを見直すことに加え、必要に応じて便秘薬を検討することもひとつの方法です。日々の体調の変化に目を向けながら、無理のない範囲で整えていくことが、腸の調子を保つことにつながります。
症状が長く続く場合や、強い腹痛、嘔吐、発熱、血便、急な便通変化、体重減少、貧血、便が全く出ない・ガスも出ないなどの状態が続く場合は、医師への相談を検討しましょう。
「お腹が張って苦しい」と感じたときは、腸の中で起きているこうした変化を思い出してみてください。体のサインに目を向けながら、自分に合った整え方を見つけていくことが大切です。
お腹の張りだけでなく、便秘の種類や便の状態の見方などを基礎から整理したい方は、こちらの記事も参考にしてください。
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